知って得する会計士
そこでDでは、開発事業部のスタッフを倍増し、さらに充実した用地取得にはずみをつけている。
Iにいわせれば、「『D』の土地取得効率が高いのは、ひと言でいえば、社長の執念」だという。
ここは欲しいとなると、とにかくねばる。
最終的には、予算より価格が上回っても買うケースが少なくないというのだ。
その代わり、そうした土地には、いっそう企画を練りあげ、仕様もより豪華で上質の設備を付加し、販売価格もアップする。
土地が素晴らしければ、それなりの付加価値をつけて、必ずペイラインでまとめあげるという方向をめざすのである。
さらに、土地柄の変化を先読みすることにも余念がない。
一例をあげれば、Dでは、現在、渋谷の円山町あたりの土地に着眼しているという。
都内在住の方であればご存じだと思うが、この一帯はレジャーホテル街として知られ、街のイメージも雰囲気も、そして治安も決してよいとはいえない。
だが、Nは、円山町は近い将来、変わると見ている。
渋谷まで徒歩数分。
京王井の頭線の神泉駅には至近距離だ。
しかも、通りを反対方向に進めば、都内有数の高級住宅街の松濤が控えている。
東急百貨店本店、Bunkamuraなどの出現で、すでに変化の兆候は明らかに見てとれる。
円山町界隈が、ジュニアファミリー向けマンション用地として、脚光を浴びるのも時間の問題だという、Nの指摘には説得力がある。
また、ごく最近、これも、レジャーホテル街として知られる湯島界隈の土地をいくつか取得している。
「お茶の水駅に近いという立地にもかかわらず、周囲にレジャーホテルが数棟建っているために、ほかのマンション業者が手を出さなかった土地です。
しかし、そうしたホテルは時代の流れから、5年後にはなくなると見ている」とNはいう。
こうした例に見るように、Nには、その土地の近未来を読み取る独自の眼力があり、現況だけを見て判断するのではなく、現時点よりよくなる可能性を含む立地であるかどうかを見抜き、大胆なほど前向きに用地を取得しているのである。
また、日ごろからあたためている異業種との交流、提携によるネットワークから、さまざまな情報が入ってくることも多いという。
「不動産屋からくる情報ではなく異業種からくる情報、これは大いにプラスになります」ディベロッパーの生命線は、1にも2にも用地である。
Nにいわせれば、その土地を生かすも殺すも、ディベロッパーの感性なのではないか、ということになる。
ある土地を一つの角度からではなく、いろいろな角度で見られるかどうか。
マンションが最適なのかどうか。
マンション以上によい活用法があるならば、そうした企画を取り入れて、マンション開発と組み合わせる方法もある。
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